【会計士目線】レビューのために買った商品は確定申告で経費になるのか?
確定申告の時期が近くなってくると気になるのが経費の範囲ですよね。
何を経費に入れて何を入れないのかは個人的な判断が必要になります。
レビューブログを書いている人はレビューを書くことによって得られる収益が気になるところでしょう。
私も会計士の端くれですので今日はレビューで購入した商品が経費になるのか、を考えて見ます。
以下は完全に私見ですので、最後はご自身の判断でお願いします。
なお、別のブログで書いた私の確定申告の記事もご参考までにどうぞ。
【現役会計士】映画ブログで確定申告のOK・NG!ばれる?経費の範囲は?注意点を解説! - 縦の糸はホラー 横の糸はゾンビ 織り成す布はいつか誰かを暖めうるかもしれない
レビューのための商品購入
こういうことを考えるときはまず極論で考えます。
例えばあなたが車のレビューをブログで書いているとしましょう。
300万円で車を購入して一生懸命レビューしたとします。
果たしてそれは経費になるでしょうか?(厳密には固定資産で減価償却ですが)
直感的には「いや、それはだめでしょ」と思うはずです。
もし、あなたが副業でブログをやっていて、事業所得として赤字300万円を申請して、給与所得と損益通算する、普通に考えて脱税です。(厳密には300万のうち減価償却で何年か按分しますが)
車の私的利用
「車をレビューするために車が必要なんだ」そう言い張るのは素人です。
100%経費に入れるには「レビューのためだけに使用した」と言い張る必要があります。
つまり、レビュー後は使えない、レビュー後は処分した、とするなら100%入れることは理論上は可能だと思います。ちなみに処分したら処分金額に譲渡所得がかかりますのでよくできてますね。。。
それでも経費に入れたいのであれば、教科書的な答えをするなら私的利用の分を按分する必要があります。
例えば車のレビューに100km乗車したとします。
車自体の耐用年数は6年ですので1年間で3000km乗車するとすれば合計で18,000km乗ることになります。
そのため、300万円×100km/18,000km=16,666円くらいが経費としては妥当でしょうか。
正直300万円の車でもたった1万円ちょっとだと、他の商品でも経費に入れる意味があるのか?というとちょっと疑問ですね。
新型 iPhoneのレビュー
もう少し現実的に新型iPhoneのレビューを書くために新型iPhoneを買ったとしましょう。価格が15万円くらいとして、スマホの耐用年数は難しいですが、iPhoneの寿命が2年くらいとし、レビュー使用期間を1週間とすれば15万円÷2年間×1週間=約2800円と言う計算になります。
まあそんなものでしょうね。
本のレビュー
小説や本を買ってレビューを書くケースはどうでしょうか。
本自体は購入後も残りますが、小説なんかだと1回読んだ本は2回目は読まないケースがありますよね。
ですので「レビューで一度読んだ本はすでにその内容を熟知しており、本の本質的な価値である「知識の提供」という付加価値が失われている」として本は全額経費に入れることができると思います。
一番大事な考え方
さて、色々理屈で考えてきましたが、大事なことは一目で見て税務署の人が「ん?」と思わないことでしょう。
税務署には貸借対照表と損益計算書を提出しますが、細かい明細までは提出しません。
つまり、個々の商品が経費になるか?など一番はじめの段階では税務署の人は見ていません。何度も言いますが、大事なことは税務署の人が「ん?」と思わないことです。
収入が100万円あったら
もしあなたが税務所の人だったら以下のどの人を一番怪しいと思うでしょうか。
①収入100万円ー経費20万円=所得80万円
②収入100万円ー経費80万円=所得20万円
③収入100万円ー経費130万円=所得▲30万円(赤字)
誰が見ても③は怪しいですよね。
私個人は②も怪しいですね。インターネットビジネスでは最低でも60%くらいは利益が出そうなもんです。
②は利益率20%といかにも利益が少ないです。
ですので税務署の人は③⇒②⇒①の順で調べていきます。
大抵①の人には何もありません。
結局個々の商品が経費になるか?というよりも全体感がまずは大事ということになるのです。
最後に
この議論は何か経費をいじれ、ですとか経費をこうしろ、というものではなく、会計や税法上の経費の考え方を示したコラムです。
車やiPhoneが全額経費にはならない、というものではありませんので悪しからず。